賛否両論の教育用絵本 『絵本 地獄』
寒さも、徐々にやわらいで来ました。
いかがお過ごしでしょうか。
今月も、月に1〜2回の教育おすすめコンテンツ通信を、
歴史漫画/伝記漫画のサイトから登録いただいた方に、
発行して参ります。
今回は、昨今流行のこちらの教育用絵本です。
『絵本 地獄』千葉県安房郡三芳村延命寺所蔵 風濤社(1980)
『絵本 地獄』は、江戸時代の絵師によって描かれた
地獄絵図を使い、現代を生きる子供たちに、
- 「死はこわいことだ」
- 「死にたくないという気持ち(生の尊さ)」
- 「生への強い意志」
等を教えるために、製作された絵本です。
赤色を多様した、強烈な挿絵の絵本ですが、
そこには、強い教育意図が明確に打ち出されています。
以下、あらすじをご紹介します・・。
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(前半)
主人公の五平は、死んで地獄に落ち、
生前の悪行のために様々に苦しまねばならない
人々の情景を見ながら、閻魔王のもとへ行きます。
しかし、そこにお地蔵様が現れ、
五平が生前にした良い行いを取り上げ、
閻魔王に、五平をもう一度、
もとの世に戻してやるよう言います。
閻魔王はそれを聞き入れ、五平に、
地獄をよく見て、生きている人間に伝えよ、と言います。
(後半)
五平は、様々な種類の地獄と責め苦を見て歩きます。
そこには、若くして亡くなった子供たちもいます。
命をそまつにするなよ!と強く思い、涙を流していると、
最後に、この世に戻してもらえました。
この世で気をつけて過ごす、という決意とともに・・。
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「『地獄』を通じて生のあり方を見つめる」
ということは、一見すると、科学時代の現代には
そぐわないようですが、
この絵本を一読すると、そこには強い現代性がある、
・・そんな気持ちになってしまいます。
それがどういったものなのか、は、
人や立場によって意見が分かれるところかと思いますので、
ここで、作品を読んだ方の感想を、少しご紹介してみます。
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恐ろしい絵図を見せて恐怖心を植え付けて
子供を躾けることに抵抗を感じる人は当然いるだろう。
体罰による躾と同様に、「脅す」という要素があるからだ。
でも、この両者には決定的な違いがある。
それは、「リアル」か「ファンタジー」かということだ。
(中略)
それでも、昔は、いや現代でも、
『お天道様が見ている』『バチが当たる』といった
倫理観を持っている人は多くいる。
この『お天道様は見ている』的な倫理観の欠如、
これこそが問題なのだ。
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地獄が本当にあるかはわかりませんが、
誰も見ていなくても、行いが見られているんだ
ということは強く感じました。
子供心に響いたのは『親よりも先に死んではいけない』
ということでした。
今この本を読むと、この本の教訓は『命を粗末にしてはいけない』
『悪い行いは悔い改めなければならない』ということがわかります。
人の死に対して涙を流すようになる前に
読ませるべきだと思います。
善悪の判断が形成されるのは
思っているよりも早いと感じるからです。
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「自殺なんてしたらこんな恐ろしいところに行くのか。
死んだら楽になるなんてことはないんだ」
ということを知って、
命をそまつにしないようにするのに、
とてもよいお話だと思いました。
息子も、神妙な面持ちで、見入っていました。
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読み聞かせに購入しました。
絵は私自身も凝視できないくらいのインパクトがあり、
子どもがすぐ手にとって見ることのないような場所に
保管することにしました。
しかし、内容は期待通りで、人(お友達)の嫌がることをしない、
命を大切にする、ということを強く感じ取ってくれたようです。
※感想は、アマゾンの口コミページからの一部引用です。
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賛否両論がある独創的な教育絵本、『地獄』。
子供への教育効果は、なかなかの好評のようですね。
仏教の他、キリスト教、イスラム教など、
色々な宗教に「地獄」という概念は登場します。
そこには、人類の普遍的な知恵や教えのようなものが、
表されているのかもしれません。
内容が気になった、という方は、
ぜひ、リンク先にある多数の口コミや評判などを、
詳細にご覧になってみて下さい・・。
次回は…
次回の内容は、未定です。
来月半ば頃の配信を予定しています。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。