ギリシャ神話と秋の星座
朝夕がだいぶ冷え込み、秋の色が強くなってきました。
皆さんは、秋の夜長をどのように過ごされていますか?
少し寒いですが、窓を開けて空を見上げると空気が透き通って、
星もとても綺麗に見えますよね。
そこで、今回はギリシャ神話として伝わる、
秋の星座のお話をさせていただきたいと思います。
秋の星座といえば…
一般的には9月から11月あたりに、夜空の見付け易い場所に輝く星のことを、
秋の星座という名前で呼ぶようです。
夏や冬と比較すると、秋の星座の多くは天の川からは遠方に存在し、
なんだか少し寂しいようにも見えます。
ですが秋の星座には、ギリシャ神話の中でもとても有名な物語があるのです。
それは古代エチオピア王家に纏わるお話と言われています…。
---
古代エチオピア王家には、アンドロメダという美しい姫がいました。
ある日、母であり、ケフェウス王の妃でもあるカシオペヤは、
「海の妖精たちよりも、私の娘は美しい」
と自慢してしまいます。
それを聞いた海の妖精たちは、祖父でもある、海の神様ポセイドンに泣きつきました。
ポセイドンは怒り、その怒りを納めるために、
アンドロメダ王女は化け鯨のいけにえにされることに決まってしまいます。
アンドロメダ王女は鎖で海岸に繋がれました。
やがて怪物が現れ、今まさにアンドロメダを食べようとしたその時…、
メドゥーサを倒して帰る途中だったペルセウスが通りがかり、そのピンチから王女を救い出します。
ペルセウスが倒したメドゥーサとは、一度でも顔を見てしまったら最後、
あまりの恐さに誰でも石化してしまうという化け物です。
ペルセウスはそのメドゥーサの顔を化け鯨に見せ、怪物を石に変えてしまったのでした。
---
星座を探してみよう
ペガスス座
二等星が三つ、三等星が一つ、この四つの星が大きな四角形を作り出しています。
秋の夜空のシンボルで、「秋の四辺形」と呼ばれている星座です。
この四辺形は、天馬ペガススの体を象っています。
首部分は四辺形の中の南西の星から東西に向かい、
そこに並んでいる星が馬の顔の形に、
そして前足は北西の星から進んだ場所にあります。
アンドロメダを救ったペルセウスが、メドゥーサを首を切り落として倒した際の血しぶきから、
このペガススが生まれた、と伝えられているようです。
アンドロメダ座
ペガススの四辺形北東にある二等星から、アルファベットのAの文字のようにも見える、
弓なりに並ぶ星座がアンドロメダ座になります。
この形は、化け鯨にいけにえとされる、アンドロメダ王女の姿なのだそうです。
ところでこの星座は、アンドロメダ大銀河(M31)を持つ星座でもあります。
私たちの住む銀河系と酷似した銀河の中では、M31は一番距離が近い銀河です。
大体1千億と言われる星たちが集まり、渦巻きのような形を作っています。
230万光年の彼方にあるために、望遠鏡を覗いてみてもぼんやりとした雲のようにしか見ることは叶いませんが、
写真に写すと銀河のフォルムがくっきりとわかるそうです。
カシオペヤ座
アンドロメダ座の北に視線を遣ると、そこにはカシオペヤ座が存在しています。
5つの星が作るアルファベットのWの形をしたカシオペヤ座は、有名な星座でもありますよね。
西の空に見える天の川は北の空へと向かって細い流れになりながらも続いていて、
カシオペヤ座はその中に身を置いています。
たくさんの微星がキラキラしてとても綺麗です。
北極星を見つけるときのシンボルとして、北斗七星はとても有名な星々ですが、
北斗七星と180度近く離れているこのカシオペヤ座も同様に、
北極星を探すときの目印になっています。
娘アンドロメダの美しさを自慢してトラブルを引き起こしてしまったカシオペヤは、
夜が明けるまで椅子に座ったままの姿で、空を回り続ける罰を受けることになりました。
そのために、北極星の周囲を地面に降りることなく回り続けていると言われているようです。
ペルセウス座
アンドロメダ座とカシオペヤ座の下方、天の川に弓なりのようにも文字のようにも見える星の列が、
ペルセウス座です。
アンドロメダ座の星の並びから見ると、星ひとつ分北東へと伸ばした部分にある星座、
といったところでしょうか。
秋の星空では、まだ東の方向から出てすぐの星座と言えます。
ペルセウス座の右下には、牡牛座のヒヤデス星団とプレヤデス星団もあり、
プレヤデス星団は日本名ではスバル、と呼ばれる星団です。
ペルセウスはアンドロメダを助ける前に、メデゥーサを倒してきた勇者です。
見るものすべてを石に変えてしまうという恐ろしい怪物でしたが、
鏡を通して見ると、その恐ろしい魔法は成立しません。
その法則を使い、ペルセウスは青銅の盾を磨き上げ、
鏡のようにして盾にメドゥーサを映し出しながら、近寄ってその首を切り落としたと伝えられています。
親子で空を見上げて…
上記でご案内した星座の他にも、
アンドロメダの父でカシオペヤの夫でもあるケフェウスや、
海神ポセイドンがアンドロメダ王女を生贄とさせるために使わせた化け物鯨も、
秋の星物語を担う一員として、星座となり夜空を輝かせています。
また、古代エチオピア王家の神話とは関りはありませんが、
うお座、おひつじ座、さんかく座や、みずがめ座ややぎ座等も、
秋の星座の仲間たちです。
これから冬にかけて、どんどん星たちが綺麗に見える季節に入っていきます。
今年の秋は、親子で夜空を見上げて星座観察なんでいかがでしょうか?
その際に神話を思い出しながら眺めると、
星座の種類もすんなり覚えることができそうです。