漫画で読める『古事記』のご案内
今年編纂1300年を迎えた「古事記」に、改めて注目が集まっているようです。
原書で読むには少し難しく分かりづらい内容も、まんがで描かれていると、
すっと頭に入ってくるという点は、「日本の歴史」の学習漫画などと同様です。
このページでは、インターネット上で読者から評価の高い、
「まんがで表現された古事記」を、集めてみました。
小さなお子さんや、「古事記の神話…聞いたことあるようなないような…」という方に、
また、出雲や島根など、神様と深い関りを持つ地域へ旅行される方にもおすすめです。
漫画と言っても、気軽に読める本からしっかりとした本までありますので、
ご紹介したレビューなどを参考に、お好きな本をぜひ手にとってみて下さい。
まんがで読む古事記シリーズ (青林堂)
理解しやすく、かつ、原典に忠実に描かれているという点において他の追随を許さない古事記漫画シリーズの最高峰です。平成24年に神道文化賞を受賞しました。
日本で一番古い歴史書「古事記(上つ巻)」を理解しやすいようにマンガにしました。
普段の生活の中でも触れ合うことの多い神々が、豊かなキャラクターで活躍しています。
古事記の順番どおり、エピソードも短くしてしまうことなく原書どおり書かれているため、原書では分かりづらかった部分も理解しやすかったです。有名な神様も、知らなかった神様も、みんな賑やかに登場しているので、「八百万の神様」という言葉に納得、どの神様も個性的でよかったです。この巻は、ヤマタノオロチを退治したエピソードで終わっています。
理解しやすいと注目を集めている「まんがで読む古事記」の第2巻です。「古事記上つ巻」は、第1巻、第2巻で通読出来ます。オオクニヌシノミコトの「いなばのしろうさぎ」から、海幸彦山幸彦までが入っています。
何種類も古事記のまんがを読み比べてみましたが、「まんがで読む古事記」のシリーズが一番わかりやすかったです。「やまたのおろち」「いなばのしろうさぎ」など、子供の頃聞いたことのあるお話が、まんがでわかりやすく表現されています。
原作に忠実に描かれ、それなのにわかりやすいのが良い点だと思います。オーバーな表現などで興味を引かせるわけではなく、小さなお子さんでも読めるように、わかりやすい絵柄なのも魅力です。とはいえ幼稚な表現ではないのが、高評価だと思います。
第3巻には「古事記 中つ巻」の物語を収録しています(「神倭伊波礼毘古命の東征」「初代 神武天皇」「神武天皇のお后探し」「綏靖天皇以後八代」「崇神天皇 四道将軍を派遣する」「垂仁天皇と沙本毘古の反乱」)。
第3巻には和歌を用いるシーンが沢山あります。ストーリーに入り込んでいる時に歌が入ってしまうと逆に興ざめになってしまいそうですが、コマの中でさらりと表現されているために不自然に感じることなく、物語を読み進めることができます。
歌を現代語にしたものは、本の最後に入っていますので、読んでいる人が自分の好きな時に、訳を確認できるのがいいです。2巻では右ページ左ページとで、原文、訳を見せる形になっていましたので、どうしても物語に入り込みづらい感じがありました。なので3巻の改良点は素晴らしいと思います。
神道文化賞受賞作品、待望の第4巻刊行。この巻ではヤマトタケルノミコトが登場します。
本格派ながらも、現在最も読まれている古事記漫画シリーズです。
今回の第4巻では「垂仁天皇とものいわぬ皇子」から「父王との再開」までが収録されています。今回の主役は「倭建命(ヤマトタケルノミコト)」です。熊曾征伐と出雲征伐の話です。非常に武張った話です。
この巻で、いよいよ古事記中つ巻も終わりです。『天地開闢にはじまる記述を原典に忠実に漫画化。このような古事記の完全漫画は今まで先例がない。』 (平成24年神道文化賞受賞時の評より)
今作では「倭建命(ヤマトタケルノミコト)」がおかくれになり、半島遠征を行った神功皇后、そして仁徳天皇へと移ってゆく時代を描き出しています。この第5巻で、「古事記中つ巻」が終わります。
もっとも原典に忠実と評判のシリーズ、第6巻です。
6巻では、仁徳天皇、允恭天皇、目弱王(まよわのみこ)等の話が描かれています。
現在日本国内で流通している「古事記」の漫画(劇画)の中では一番原典に忠実ではないでしょうか。とにかく丁寧に劇画にされていますね。ほとんど省略や改変が無いのでまず人に勧めるならこの久松先生の劇画でしょうね。装束や髪形など、比較的時代考証もしっかりしていて良い本です。ぜひ全編、劇画化して完走してほしいです。
神功皇后の新羅征伐まで描いただけでもすごいと思います。まして軽王・軽大郎女の話まで描いた漫画はこれまでなかったのではないでしょうか。ぜひこのまま推古天皇まで描ききってほしいと思います。古事記下巻は外国ドラマも真っ青なドロドロした物語が多いです。
日本初の古事記全編漫画化、その完結編です。
第7巻では、雄略天皇から推古天皇までを掲載しています。
足かけ10年で完結しました。古事記原文に忠実な劇画化は、日本で初めてではないでしょうか。内容は雄略天皇から推古天皇までです。里中満智子の古事記でも仁賢天皇まででしたので、完全版です。時代考証もかなりを使ったと書いてあるので、正統派の歴史劇画であると思います。
古事記 (まんがで読破)
最近では教育の現場でめっきり聞かれなくなった「日本の神話」。神話は日本の歴史を例えたもの、それを最初に書き記したのが、文官・太安万侶、作られたものが「古事記」です。こちらは、その日本最古の歴史書の全体(上中下巻)が、読みやすくコミック1冊にまとめられたシリーズです。
学生さんだけではなく、大人まで楽しく読めます。古事記の上中下巻の内容殆どを1冊のまんがにしてありますので、話の進め方は若干早い感じはしますが、逆にいうと1冊で読めてしまうので、お得感はあります。大雑把に古事記の流れを理解してから読むと、より効果的に楽しむことができるのではないでしょうか。
「古事記」というのはみんなが知っている言葉だと思いますが、あらすじや全体の内容を知っている人はほとんどいませんよね。こちらのまんがは「古事記」のスタートラインに立つきっかけとしては、適した内容なのではと感じました。古代日本が気になりだした場合、こちらの本で大体の流れを掴み、出雲地方、島根を旅行すると、内容の詰まった良い旅ができると思います。
五月女ケイ子のレッツ!!古事記
こちらは、古典という響きだけで堅苦しさを感じる人に特に読んでもらいたい1冊。
大人気イラストレーター五月女ケイ子さんが、今までの古事記では見ることの出来なかった神々を表現しました。
古事記入門書としてはぴったりの1冊。作者独特の個性的な世界観、オオクニヌシノカミが眼鏡男子だったり、アメノウズメがヤンキーだったりと、個性溢れる神さまのおかげで、とてもわかりやすい「古事記」のまんがになったと思います。
神話である、古事記の上巻に入っているお話が、ほぼ漫画で表現されています。ぶっとんだ五月女ケイ子さんの個性的な絵と、神話の雰囲気が上手くマッチしていました。この本を読んで、古事記の中巻、下巻にも興味を持ちました。古事記の入門書としてはオススメです。
古事記―マンガ日本の古典 (1)
日本の古典文学群を漫画化した大シリーズの第1巻に当たる本書。「古事記 上つ巻」がまとめられています。イザナギ・イザナミノミコトの国生みから、海幸彦と山幸彦など…昔話として誰もが知っている物語がまとめられた日本最古の書物をまんがとして蘇らせました。平成九年度の、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞作品です。
石ノ森章太郎さんの感性と想像力が、古事記に新しい息吹を吹き込んだのだなと感じます。こちらに入っているものは古事記の上巻のみ、天孫降臨まで、ヤマトタケルは含まれていません。繊細な解説も外せないので、読破するには多少の努力も必要になりますが、普通に古事記を読むのと比較すると、時にダイナミックに、時にジョークを含めて、とても楽しく読めると思います。とはいっても楽しいから内容が薄いと言うことは、もちろんありません。
ヤマトタケルノミコト―神話の中の英雄 (学研まんが人物日本史 大和時代)
こちらは、ヤマトタケルノミコトに特に焦点を当てた漫画です。大和朝廷が国を統一する時に活躍したといわれているヤマトタケルノミコトは、父である景行天皇の命令で、九州や東北地方の豪族を制圧していきます。巻頭や巻末では、当時の時代背景やポイントを詳細に説明していて、学校の勉強にも役立たせられるような工夫がちりばめられた1冊です。
入門書的にはぴったりな、さらっと楽しめる本です。本どころかまんがさえも余り興味を持たない息子が、こちらのヤマトタケルノミコトの絵柄に惹かれました。購入したきっかけは、出雲地方の旅行をするため、息子には神話的背景にも触れてもらいたかったからです。効果はてきめん、とても興味を持って現地を旅することが出来たようです。
中世より先の人物とは違い、細かな年代、どこの地方で戦があった、などがわかる内容ではありませんので、高学年の学生さんにはもしかしたら物足りないかもと感じます。
(※レビューはアマゾンのページからの引用・要約です。最後のレビューのみ楽天ブックスのページからの引用・要約です。)
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