赤毛のアンと若草物語のお話

 

夏真っ盛りの、暑い日々が続いています。。

 

いつもと違う時間帯に賑やかな声が窓の外から聞こえ、
夏休みを満喫している子供たちを眺めては、少し羨ましく感じます。

 

さて今回は、昔から少女たちに愛され続けてきた海外文学を、
ご紹介させていただきます。

 

今回も最後までお付き合い頂けると嬉しいです。

 

 

 

  赤毛のアン

 

 

★赤毛のアン・新装版 (講談社 青い鳥文庫) / L.M. モンゴメリ

 

 

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白いりんごの花が咲き誇る季節に、美しいプリンスエドワード島へと、
ひとりの赤毛の孤児の女の子がやってきました。

 

少女の名前はアン・シャーリー、おしゃべりが大好きな夢見がちな女の子です。

 

愛情に満ち溢れたアンは、いつでも真剣におかしな騒動を巻き起こし、
巻き込まれたみんなはいつの間にか愉快で幸せな気持ちになってしまうのです。

 

おばあちゃん世代も、お母さん世代も読んだ赤毛のアン、
2008年にアン生誕100周年を迎え、村岡花子さんの名訳がよみがえりました。

 

世界中のみんなを笑顔にしてくれるアン、
皆さんもぜひ、アンの「腹心の友」になってくださいね。

 

 

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「赤毛のアン」は1979年に世界名作劇場で、アニメ化された作品でもあります。

 

何度も再放送されたこともある作品ですから、アニメをご覧になって、
原作を読まれた親御さん世代もいらっしゃるかもしれません。

 

作者はカナダの作家、、L・M・モンゴメリ、
アニメの影響もあるためか、ここ数十年ほどは児童文学のイメージが強いようですが、
特に児童を対象として書かれた作品ではないようです。

 

主人公のアン・シャーリーが、孤児院からプリンスエドワード島の、
「グリーンゲイブルズ」のマシューとマリラに引き取られ、
クィーン学院を卒業するまでの5年間を描いた作品になります。

 

「赤毛のアン」は人気作となり、この後モンゴメリはアンを主人公にしたシリーズや、
アンの周りを取り囲む人々の作品をたくさん輩出しました。

 

アンが男の子と間違われて、マシュー、マリラ兄妹に
引き取られる物語の始まりは余りに有名ですが、
実はこのエピソード、作者のモンゴメリは、
「男の子と女の子を間違えて、孤児を引き取ったご夫婦のお話」、
を新聞で目にし、そこからヒントを得て作品を書き始めたそうです。

 

 

まさに事実は小説よりも奇なり、ですよね。

 

先日「トム・ソーヤーの冒険」をご紹介しましたが、
作者のマーク・トウェインは「赤毛のアン」を読んだ後、モンゴメリに、
「the dearest and most moving and most delightful child since the immortal Alice」
という、アンに対してべた褒めの手紙を送ったそうです。

 

直訳すると、
「かの不滅のアリス以来、最も愛らしく最も感動的で最も利発な子」
といった賛辞の言葉になります。

 

もちろん「赤毛のアン」は、アンだけが魅力的な作品ではありません。

 

厳しくも温かくアンに接するマリラや、
不器用だけどいつもアンを見守っていてくれるマシュー、
詮索好きでおせっかいが過ぎる、でもどこか憎めない隣人のリンド夫人、
アンの腹心の友であるダイアナや、
サイアクの出会いからライバルとなったギルバート。

 

美しいプリンスエドワード島を舞台に、
アンや、アンを取り巻く登場人物が織り成す優しくて温かいストーリー…。

 

お子さんと一緒に、親御さんにもぜひ何度も読み返していただきたい1冊です。

 

 

 

  若草物語

 

 

★若草物語 (子どものための世界文学の森 1) / ルイザ・M. オルコット

 

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温厚で信心深い長女メグ、自立心が強くおてんばなジョー、
優しくてシャイなベス、甘えん坊でおしゃまなエイミー。

 

お父さんが戦争へと従軍したマーチ家では、
留守をお母さんと4人の姉妹が守っています。

 

つつましくも明るく、懸命に生きるマーチ家で起こる様々な出来事、
お父さんは無事に帰ってくるのでしょうか?

 

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19世紀アメリカを舞台にした、マーチ家4人姉妹を中心にして描いた、
愛に溢れたお話です。

 

もともと「若草物語」というのは、

 

『続 若草物語』
『第三若草物語』
『第四若草物語』

 

を入れ、姉妹の成長、成人や、結婚後の生活を描いた4作品で一群となっていますが、
日本で「若草物語」というと、第1作目が余りにも有名ですよね。

 

作者ルイザ・M. オルコットの自伝的小説でもある「若草物語」は、
150年近く昔のアメリカの生活を描いたですから、
今からはまったく想像できない部分もあります。

 

ですが読み進めていくと、姉妹たちの生き生きと書かれた描写から
当時の生活も見えてきて、いつの間にか作品の中に引き込まれてしまいます。

 

 

家族に起こる楽しい出来事や、思いがけない出来事、
悩みもあれば、大きな試練もありますが、どんなときでも人に対する思いやりを忘れない、
本当に満ち足りた生き方とはどういうことか…

 

…どこかそんなことを思い出させてくれる作品です。

 

 

上記でご紹介した「若草物語」は小学校低学年から中学年のお子さんに向けて、
わかりやすく書かれているものになりますので、
まずはそんなに堅苦しくなく、4姉妹と一緒に笑ったり泣いたりと、
気持ちを共感されてみるのもいいと思います。

 

4人も女の子がでてきますので、きっとお子さんが共感し、
気持ちを寄り添わせることの出来る姉妹が、ひとりはいるのではないでしょうか?

 

もう少し詳しく読んでみたいな、と思われるようでしたら、
新潮文庫、講談社青い鳥文庫、角川文庫、福音館古典文庫などからも
発行されていますので、お好みで選んであげてください。

 

 

もちろん親御さんにも、とてもおすすめできる1冊です。

 

少しお説教くさい、なんていう感想も見かけることが多いですが、
忘れていた大切なことを思い出し、背筋をピン、と伸ばして、
自分の行動を振り返りたくなる気持ちにもなれます (笑)。

 

 

 

少女たちに愛され続ける海外文学

 

 

作家の恩田陸さんが、「麦の海に沈む果実」という小説の中で、
「赤毛のアン」と「若草物語」について、

 

『女の子は「赤毛のアン」が好きな子と「若草物語」が好きな子に分けられる』

 

と、面白い観点で表現されています。

 

書かれていた事を簡単にまとめさせていただくと、

 

「赤毛のアン」を好きな女の子は、可愛いものが好きだったり、
仲の良い女の子グループたちとみんなでおそろいのリボンを買うなど、
いかにも女の子っぽいタイプの少女たち。

 

「若草物語」を好きな女の子は、どちらかというと孤独を愛し、
意味なく群れるのには興味を持てず、気の会う友達は一人か二人で満足。
そしてそんな女の子たちは、次女の「ジョー」が好きで、
ジョーの言動には共感を覚えている。

 

…というような内容でした。

 

もちろんこの事に全ての少女たちが当てはまるとは思いません。
(実は私もなのですが、「赤毛のアン」派ですが、
一人でいる時間もとても大切に感じているひとりなのです笑)

 

ですが、「赤毛のアン」や「若草物語」が、どちら派?などという、
まるで、「少女向けの海外文学」の人気を二分しているように扱われているのは、
それだけこの2作が、時を越えて、長い間愛され続けてきた証のようにも感じます。

 

これからも少女たち(もちろん少年たちにも!)に、
読み継がれていって欲しい海外文学です。

 

 

 

 次回は・・・

 

 

次回は、今年の7月に「グスコーブドリの伝記がアニメ化された、
宮沢賢治の作品から、いくつかご紹介する予定です。

 

最後までお読み下さり、どうもありがとうございました。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

今回の本
赤毛のアン (新装版) (講談社青い鳥文庫)
若草物語 (子どものための世界文学の森 1)

 

 

関連する本
若草物語、文庫版等一覧

 


 


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